【法務3級対策!】預金差押(差押・仮差押・転付命令)
作ったおかずを娘があまり食べない日が続いています。親が食べたいものばかり作っているので、好き嫌いがどうこうまでは関知しませんが、なぜか保育所の給食は毎日おかわりしてくるのが謎。こんにちは、rinkoです。
この記事は【受かる試験のコツ】法務3級おすすめテキスト・まとめ(銀行業務検定)の個別テーマになります。ぜひ、こちらとあわせてお読みいただいてからご覧ください。
筆者が前にいた会社では、朝、郵便物が届いたときに、「地方公共団体などからの分厚い封書」がないかきちんと確認することが徹底されていました。差押命令の場合があるからです。これを見過ごして総務の郵便物BOXに入れてしまうと、大変なことになる!と定期的にアナウンスされていましたね。
「差押」は、債権者が行う金銭の取り立て手段の一つですが、金融機関に対して行うのは行政や手続きの代理をしている弁護士などが殆どです。こちらの制度に関する問題は、法務3級においてかなりの頻出で、昨年度は1問ずつ出題されています(預金分野)。ややこしい話ですが、ここを理解しておけば、ほぼ確実に2点ゲットで合格への近道!です。
というわけで今回は、預金差押について要点をお伝えしていきますね。
差押命令
差押えとは、強制執行のためになされる手段で、差押命令がなされると差押預金等の弁済は禁止されます。(民事執行法に詳細が規定されています)
差押命令が出されることで、債務者への強制執行(取立)を開始するということですね。ちなみに差押命令の文書は債権者(執行者)が「債務者と第三債務者である金融機関の双方」に送達するものです。金融機関に「送達された時」に効力が生じるとされています。
一般的には、税金や社会保険料を滞納した債務者に対して、執行者である債権者(納付すべき国や地方自治体)が行うケースが殆どです(この辺は更に法律が異なるので、後程改めて説明しますね)。
基本的には実務では存在しませんが、もし金融機関が差押預金等を預金者に支払ってしまうと、二重払いをしなければならない状態になってしまうことになります。公的機関には、金融機関も逆らえませんw
差押の効力は、送達前に入金された振込金には及びますが、送達後に入金された振込金には及びません。また、差押の効力は、差押後に生じる利息には及びますが、差押前に既に発生している利息には及びません。(このあたりの前後関係は、結構試験で問われます)
預金等を差押えた差押債権者は、債務者に差押命令が送達された日(実質的には金融機関に送達された日と同じ)から1週間を経過したとき、その預金等を取立することが出来ます。
ただし、定期預金が差押えられた場合については、例外があります。金融機関は「定期預金の満期が到来するまでは差押債権者の払戻請求に応じる必要は無い」とされています。
・・・自動継続の定期預金タイプだと、初回の満期が到来していたら実質この例外関係ないみたいですけどね。
租税滞納処分による差押
税金や社会保険料などが滞納された場合、税務官庁などが執行官となり国税徴収法に基づく差押えが行われます。実務では民事執行法に基づく一般の差押えより頻度が高いです。
滞納処分による差押えは、第三債務者である金融機関に債権差押通知書が送達されたときに効力を生じ、金融機関は預金者に対する弁済を禁止されます。
民事執行法の差押えと異なり、税務官庁は債務名義を必要としないで自ら執行できます。つまり、差押えと同時に、取立権が発生するのです。
仮差押命令
債務名義を取得するまでの間に債権者が財産を隠匿したり処分をしたりしてしまうと、強制執行の目的物が無くなってしまうため、将来の強制執行を保全するために仮差押という制度もあります。地味に、差押えと根拠法律が違いますw(こちらは民事保全法)
実務では仮差押命令は差押命令以上に少ないかもしれません。(というか、不動産はともかく預金ではほぼ無いと思われます)
仮差押命令と差押命令は「金融機関に書面が送達された時に効力が生じる」「預金等について預金者(命令者にとっては債務者)への払戻が禁止される」などの点は同じです。
ですが、「預金等を取り立てる権限」は差押命令だけの権限となり、仮差押命令では生じません。ここの違いが出題ポイントですね。
差押(仮差押)の競合
差押(仮差押)の競合とは、複数の債権者が同一の債権を別々に差押(仮差押)した結果、各債権者の差押え金額が被差押債権の金額を超える状態になることを指します。
競合が生じたときには、金融機関は預金等の全額に相当する金銭を預金債務の履行地の供託所に供託しなければなりません。(義務供託と言います)
競合が発生すると執行裁判所にも事情を届出する形になります。
転付命令
転付命令、なんだか差押えとセットで出てくるけどよくわからない、という声も聞かれます。
転付命令は、預金等の被差押債権をその額で差押債務者から差押債権者に移転させる命令です。
これにより、その金額を限度として債務者に対する債権も弁済されたものとみなされます。
「(仮差押→)差押→競合・供託の発生!→取立訴訟→判決→転付(弁済)」の順番で行われるということですね。
なぜ、差押命令以上に転付命令が分かりにくいかと言えば、仮差押同様、実務でよくある租税滞納処分による差押えでは競合が発生せず、転付命令が出る前に(差押えと同時に)取立してしまうからだと思われます。※国税徴収法に基づく差押えは、民事執行法の差押えに優先されるので、競合がより起きにくいです。
転付命令は預金等よりも他の動産や不動産で扱われることが多いですが、意味さえ分かっていれば試験で問われても怖くありません。
まとめ
さて、今回は法務3級の試験対策となる個別テーマとして、預金に対する差押・仮差押・転付命令についてまとめてみました。いかがだったでしょうか。なかなか頭に入ってこない部分もあったかもしれません。ですが、実務と照らし合わせるのが比較的簡単なジャンルでもありますので、ぜひ合格に活用していただきたいと思います。
Lunar coacherryは、仕事に育児に自分に励むママを、心の底から応援しています。
【FP1級実技試験(面接)のコツ】ポイントまとめ【金融財政事情研究会】
【FP1級試験のコツ】学科試験予想まとめ【金融財政事情研究会】
【年金アドバイザー2級試験のコツ】おすすめテキスト・まとめ(銀行業務検定)
【受かる試験のコツ】金融経済3級(銀行業務検定)
【受かる試験のコツ】法務3級おすすめテキスト・まとめ(銀行業務検定)
こちらもおすすめ→【銀行業務検定】過去問題集を確実に手に入れるたった一つの方法