【法務3級に受かる!】連帯債務と連帯債権
こんにちは、rinkoです。
この記事は【受かる試験のコツ】法務3級おすすめテキスト・まとめ(銀行業務検定)の個別テーマになります。ぜひ、こちらとあわせてお読みいただいてからご覧ください。
今回は連帯債務や2020年の民法改正で新設された連帯債権について概要を解説していきます。
連帯債務とは
「連帯債務」とは、
同一の債務について「数人の」債務者が「各自独立に全部の給付をなすべき債務を負担」する債務関係をいいます。
連帯保証が債務者と保証人が連帯して債務を負担するのに対し、連帯債務は複数の債務者が連帯して債務を負担します。連帯保証と連帯債務は当事者になった際にも似ていて混同することもあるので気をつけてください。
では連帯債務の性質について、説明していきますね。
連帯債務の性質
連帯債務とは、債務の目的が性質上可分であり、法令の規定または当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担することをいいます。
たとえばAとBとCがお金を出しあって、Dから300万円の自動車を買うとします。
このときに、ABCがそれぞれ100万円の債務を負い、Dはそれぞれに100万円の支払いを請求するとしたらどうでしょう。それはDにとってみたらものすごく面倒くさいことですよね。
そこで、連帯債務という制度が生まれました。ABCが連帯債務者なら、DはABCの誰か一人に「債務の全部( この場合300万円 )の履行」を請求できるのです。
そして、代金を支払った連帯債務者の一人は、他の連帯債務者に対して立て替えた代金の請求をすることができます。
※この、弁済などによって債務を消滅させた債務者が、他の債務者に対して支払いを請求する権利は「求償権」といいます(この権利は保証にもあります)。
また、ABCそれぞれが負担する債務は100万円ずつである必要もありません。
各人がいくら負担するかはABCの話し合いで自由に決めることができます。A200万円、B80万円、C20万円などといった不ぞろいな割合でも法的にはOKです。そしてこの定められた額を「負担部分」といいます。
「求償権」「負担部分」この2つの単語は重要ですよ!
連帯債務者の求償権と負担部分
では、この求償権と負担部分が、どう連帯債務に影響してくるのかについて、さらに例を挙げます。負担部分は先ほどの例にならって、A200万円、B80万円、C20万円とします。
ケース1.DがAに対してのみその債務全額(300万円)を免除した場合
A:全ての債務を免れる
BC:全額(300万円)について連帯債務を負うが、Aに対して求償権をもつ
ケース2.Aの債務について消滅時効が完成した場合
A:全ての債務を免れる(時効の援用は必要)
BC:全額について連帯債務を負うが、Aに対して求償権をもつ
ケース3.AがDに対して300万円の反対債権を有しており、相殺適状にある場合
Aが相殺をした場合:債務は消滅し、AのBCに対する求償の問題となる
Aが相殺をしない場合:BCは、Aの負担部分(200万円)まで履行の拒絶が認められる ※これは連帯保証にはない概念ですね
また、この場合のAの負担部分は200万円ですが、Aが10万円でも20万円でも債務を消滅させ、共同の免責を得た以上は、その額がいくら少額でも他に求償できるということにも注意が必要です。
自己の負担部分を超えない弁済でも求償可能で、「免責を得た額」が求償権の対象となります。
連帯債務者の一人に生じた事由
このように、連帯債務者の1人に履行や相殺などの事由が生じた場合、他の連帯債務者にも影響を及ぼします。しかし、実は連帯債務の各債務者が負う債務は本来別個独立の債務であり、連帯債務者の1人に生じた事由は、他の連帯債務者の債務に影響を与えないのが原則なのです。
例外的に連帯債務者の1人について生じた事由が、他の債務者の債務に影響を与える場合は以下の4点です。
1.履行:債務者の1人が契約を履行(弁済など)すると、他の債務者の債務も消滅する
2.更改:債務者の1人が、新しい債務を成立させて前の債務を消滅させると、他の債務者の債務も消滅する
3.相殺:債務者の1人が相殺すると、他の債務者の債務も消滅し、債務者の1人が相殺を援用しない場合、他の連帯債務者は、当該相殺が認められる範囲(=負担部分の限度)で履行を拒絶できる
4.混同:債務者の1人が債権者を相続するなどにより債務が消滅すると、他の債務者の債務も消滅する
以上、「履行」「更改」「相殺」「混同」の4点です!
改正民法により履行の請求・時効・免除が相対的効力(他の債務者には影響しない)となりました。(時効と免除は相対的効力となりましたが、当事者の意思表示で絶対的効力とすることもできます)
ただし、他の連帯債務者は、時効が完成した者または免除を受けた者にも求償権を有するという点に注意してください。債権者A、連帯債務者BCDといて、AがBの債務を免除したとします。免除は相対効となったので、Bの債務が免除されても、AはCDに全額の請求ができます。当初より多くの損害を被ることとなるCDは、免除を受けたBにも求償はできるというわけです。
とても重要ですので、保証、連帯保証、連帯債務が、他の者に影響を与える事由をまとめておきます。
保証人に生じた事由が主たる債務者に及ぶ場合
→履行、相殺
連帯保証人に生じた事由が主たる債務者に及ぶ場合
→履行、更改、相殺、混同
連帯債務者の1人に生じた事由が他の債務者にも及ぶ場合
→履行、更改、相殺、混同
連帯債権とは
複数の債権者それぞれが債務者に履行の請求ができ、一人の債権者に対して弁済が行われると債権者全員の債権が消滅するとした規定です。連帯債務の逆パターンですね。
従来からある保証債務や連帯債務と絡めて比較問題を作りやすいところと言えるでしょう。
連帯債務で毎回問題が出るとまでは言えず、連帯債権も出題可能性が高いとは言えませんが、念のため重要ポイントをチェックしておきましょう!
説明していきますね。
連帯債権の性質
■連帯債権の要件
債権の目的が性質上可分である場合において、
各債権者は、全ての債権者のために全部または一部の履行請求をすることができ、
債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
性質上可分な債権が当事者の意思によって不可分とされている場合も、連帯債権として扱われます。
■連帯債権者の一人との間に生じた事由
出題されるとしたらここですね。保証や連帯債務としっかり区別しておきましょう。
1.更改・免除
連帯債権でも、連帯債権者の一人が債務者と更改や免除を行うことができます。
そしてその効果ですが、可分債権であれば、その連帯債権者が受ける予定だった部分について他の連帯債権者は履行の請求ができなくなります。更改・免除された分を除いた債権を行使できれば十分ですからね。
不可分債権の場合は、更改・免除を行った債権者が受けるべきだった利益を他の連帯債権者が返還することとなります。
2.混同・相殺
債務者と連帯債権者の一人の混同と相殺も絶対的効力となります。
連帯債権者ABC、債務者Dがいて、DがAに対してa債権を持っていたとします。Dがa債権を自働債権として相殺の意思表示をすると、その効力はBCにも及び(a分の債権が消滅)、AからDに対して相殺の意思表示をした場合も同様となります。
上記を除き、連帯債権者の一人の行為または一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対して効力を生じません。
連帯債務と同様、連帯債権も原則は相対的効力です(他の連帯債権者の一人および債務者が別段の意思表示をした場合を除く)。ちなみに履行の請求は「債務者」の時効や履行遅滞に関わる行為なので、債務者やその保証人ではない連帯債権者で考慮する必要はありません。
では今回は、連帯債権において絶対的効力が認められるもの=「更改・免除・混同・相殺」を覚えておいてくださいね。
まとめ
さて、今回は法務3級の試験対策となる個別テーマとして、保証と連帯保証についてまとめてみました。いかがだったでしょうか。融資実務と照らし合わせるのが比較的簡単なジャンルですが、融資担当ではない方もいらっしゃるかもしれませんね。ぜひ知識を身に着けて、実務に合格に活用していただきたいと思います。
Lunar coacherryは、仕事に育児に自分に励むママを、心の底から応援しています。
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