【FP1級試験のコツ】学科試験予想(平成29年度税制改正:取引相場のない株式等に係る納税猶予制度関係)
お正月に取りだめた録画を流しながら爆笑しています。お笑いにも色々なジャンルがありますが、最近ではゆりやんレトリィバァに着目しています。こんにちは、rinkoです。
さて、後輩からの質問の量が半端ないので、今日も、FP試験について、引き続き1テーマずつお伝えしていきたいと思います。
今回は「なんか会社のオーナー様が後継者問題でこのことに関して嘆いてるみたいなんですけど意味わかんないので伝えられないですぅ」と質問を受けた「取引相場のない株式等に係る納税猶予制度」の内容について、少し説明したいと思います。FP1級応用編(相続事業承継分野)でもお伝えしました通り、非常に注目度の高いテーマですね。
繰り返しになりますが、こちらの記事でお伝えしました通り、試験問題で出やすい問題というのは以下のどちらかです。
普遍的なテーマ
1~2年以内に制度改正があった最新のテーマ
取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度
さて、この制度の内容と適用条件です。
概要
「中小企業の代表者であったものの後継者が、その代表者であったものから贈与によりその保有株式等の全部を取得し、その会社を経営していく場合には、その猶予対象株式等(後継者が贈与前からすでに保有していたものを含めて、発行済み議決権株式等の総数の3分の2に達するまでの部分に限る)の贈与に係る贈与税の全額の納税を猶予される」
という制度です。適用に当たっては、以下の要件を満たすかどうかについて、各都道府県知事の認定を受ける必要があります。あっ、この認定先は緩和されたばっかりなんでここも出題されるかも、です。
株式贈与者の要件
会社の代表権を有していたこと・・・元代表者じゃないとダメです→ 改正項目です。元代表者のほか、その配偶者や従業員からの贈与についても適用できることになりました- 贈与時において会社の代表権を有していないこと(代表権を有していなければ、役員でもOK)・・・代表のうちに譲るのは、ナシです
- 贈与の直前において、「贈与者及び贈与者の同族関係者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、贈与者が保有する議決権数が後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していた」こと・・・イメージとしては、「代表の承継をスムーズに出来る割合を保つ」ために、多数決がうまくいく割合にしてねってことなんですが、後継者が贈与者と同族(親族等)じゃなかった場合ってすごく四面楚歌ですよねw(←最近筆者はこういう相談うけました)
後継者(受贈者)の要件
贈与の時において、
会社の代表権を有していること・・・経営権を譲るための制度ですからね→ 改正項目です。会社の代表権を有している人物のほか、株式を10%以上保有している人物でもOKになりました。また、3名までなら後継者が複数の承継も対象となりました。- 20歳以上であること・・・未成年社長はダメー
- 役員に就任してから3年以上経過していること・・・ぽっと出もダメー
- 後継者及び後継者の同族関係者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者が保有する議決権数が後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していること・・・イメージとしては、先代と同じく「代表の承継をスムーズに出来る割合を保つ」ために、多数決がうまくいく割合にしてねってことです。ちなみに先の相談の件は、そもそも贈与者だけで50%超の議決権を保有していたので、制度適用自体は問題なくできました。あとは、ヒトとヒトの問題ですね(汗
※後継者が贈与者と血縁関係にある必要は全くありません。
会社の経営要件(適用時点)
- 認定を受けた中小企業者で、会社の株式が非上場株式等であること
- 常時使用する従業員が1人以上あること
- 「資産管理会社」、「風俗営業会社」ではないこと
などです。細かい部分はさておき、「マジメに一般事業をしている中小企業」であれば、大丈夫です。
会社の経営要件(継続)
- 納税が猶予される税額及び利子税の額に見合う担保を提供しなければならない・・・タダで猶予なんてしてあげないよというあざとさが見えますが、「特例の適用を受ける株式等のすべてを担保として提供した場合には、その担保が提供されたものとみなす」そうです。うわぁ、会社やめられない。
- 後継者が株式等を保有し続けること
- 後継者が会社の代表者であること
- 5年間の従業員数の平均が、認定時(贈与時)における従業員数の8割を維持すること・・・
ほんま会社続けてねって感じですね。→平成30年度より、一時的にこの部分が実質撤廃されました。維持できなかった事由報告を適正に都道府県に対して行えば、遡及課税はされなくなっています。
※経営要件は、相続税の納税猶予制度も全く同じです。
※申告期限から5年以内に、経営要件を満たさなくなった場合、猶予税額の全部または一部を納付しなければなりません。この場合は、平成29年度税制改正により相続時精算課税制度との併用が可能になりました。
猶予→免除となる要件
- 贈与者(先代経営者)が死亡した場合・・・もう贈与でもらっているのですが、この場合、後継者(受贈者)が対象株式等を「贈与時の時価で、相続により取得した」という計算をします。その分相続税が増えるのですが、認定を受ければ、次の項に書いてある相続税の納税猶予が適用できます!
- 贈与者(先代経営者)が死亡する前に後継者(受贈者)が死亡した場合・・・贈与した株式等が相続で再分配を余儀なくされますからね。相続税との二重課税とならないよう免除ってことです。
- 申告期限後5年経過後、後継者(受贈者)が、さらに次の後継者に本特例を利用して株式等を贈与した場合・・・つまり「5年経ったら、経営者は次の代替わりしていいよ」ということです。
※平成30年度税制改正により、株式売却・廃業の場合も、全額追納ではなく、「株式売却・廃業をした時点の株価」で税額を再計算し、承継時点の猶予税額との差額については納税が免除されることになりました。
取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度
さて、この制度の内容と適用条件です。
概要
「中小企業の代表者であったものの後継者が、その代表者であったものから相続によりその保有株式等の全部を取得し、その会社を経営していく場合には、その猶予対象株式等(後継者が相続前からすでに保有していたものを含めて、発行済み議決権株式等の総数の3分の2に達するまでの部分に限る)の贈与に係る相続税のうち80%の納税を猶予される」
という制度です。贈与と同じく適用に当たっては、以下の要件を満たすかどうかについて、各都道府県知事の認定を受ける必要があります。あっ、この認定先は緩和されたばっかりなんでここも出題されるかも、です。
※平成30年度改正にて「80%の納税を猶予→全額納税を猶予」「猶予対象株式の上限は撤廃」へと変更されることが判明しました。
先代経営者(被相続人)の要件
- 会社の代表権を有していたことがあること・・・元代表者じゃないとダメです
- 相続開始の直前において、「被相続人及び被相続人の同族関係者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、被相続人が保有する議決権数が後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していた」こと・・・まあ、”贈与者”が”被相続人”になっただけですね。
後継者(受贈者)の要件
- 相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有していること・・・経営権を譲られた方のための制度です。贈与税の納税猶予とは異なり、相続開始時点で代表者であることは必要ではありません。先代死亡により新社長(代表)就任とか、ありますよね。
- 後継者及び後継者の同族関係者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者が保有する議決権数が後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していること・・・もはや贈与税の納税猶予と全く同じですね。
- 相続税の申告期限まで特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを保有していること・・・びた一文たりとも他の方に贈与・売買等してはいけません。
※後継者が被相続人と血縁関係にある必要は全くありません。
会社の経営要件
経営要件は、贈与税の納税猶予制度と全く同じです。
※申告期限から5年以内に、経営要件を満たさなくなった場合、猶予税額の全部または一部を納付しなければなりません。
猶予→免除となる要件
1.後継者が死亡するまで株式等を保有し続けた場合・・・さらなる次世代に対して二重課税にならないようにするってことですね。
2.5年経過後においては、①会社が経営破綻した場合②さらなる次の後継者に株式等を贈与し、その者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときなど一定の場合・・・①は破綻したところからお金取れないから、②は1と同じく二重課税にならないようにするってことだと思います。
3.同族関係者以外の者へ保有する株式等を一括して譲渡した場合で、その譲渡対価または譲渡時の時価のいずれか高い額が猶予税額を下回る時には、その差額分の猶予税額が免除・・・これはM&Aとかですかねぇ。株式等の移転に対して相続税を課税しているのに、その株価の時価が税額未満だとかわいそうだから温情かけてる(かのように見えますね)。
改正点のまとめ
平成29年度税制改正では、いくつかの点について見直しが行われ、各税制が使いやすくなりました。※平成30年改正で、更に変更となる点が明らかになりました。加筆修正を行っております。
1.相続時精算課税制度との併用が可能に
既に書いてありますが、贈与税の納税猶予制度を利用しやすくするために、「適用対象外」となった場合だけでなくとも、当該株式等を相続時精算課税制度を併用することが出来ますので、生前贈与が行いやすくなりました。
2.対象株式数等の上限撤廃(~2027年)
3分の2までが上限であった、対象株式数の上限が撤廃されます。これで、自社株相続時の納税負担は実質ゼロに。
3.雇用維持要件の実質撤廃(~2027年)
5年間の雇用者8割維持については、要件としては残っているのですが、下回った場合でも、理由報告等を行えば猶予税額の納付は不要となりました。
4.経営環境変化に応じた減免制度の創設(~2027年)
やむを得ず株式売却・廃業などをした場合でも、「贈与・相続時点」の株価による税額と「株式売却・廃業時点」の株価による税額の差額分は免除となります。
まとめ
いかがでしょうか。今回は筆者が今年のFP検定試験出題の可能性がかなり高いと考えている、取引相場のない株式等に係る納税猶予制度についてまとめてみました。贈与税と相続税、両方殆ど同じなので理解はしやすいですが、いくつか異なる点についてもきちんと把握しておくとポイントアップにつながると思います。(2018年1月:基礎編にて出題)
普遍も最新もひっかかるテーマですので、確実に理解を深めることが合格への近道だと思います。
Lunar coacherryは、仕事に育児に自分に励むママを、心の底から応援しています。
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