【法務3級対策!】相続預金・法定相続分・遺言
買いたい本が多い時には実入りが少ない。そんなパターンにはまっています。こんにちは、rinkoです。
この記事は【受かる試験のコツ】法務3級おすすめテキスト・まとめ(銀行業務検定)の個別テーマになります。ぜひ、こちらとあわせてお読みいただいてからご覧ください。
相続って、重たいテーマですよね。筆者は、娘が生まれた年に祖父母が立て続けに亡くなって父が手続きに右往左往していたのが最近の身近な思い出です。事前に「預金は解約のために色々書類がいるよ」と言ってあったのでパニックになることはなかったようですが、産まれてから亡くなるまでの戸籍などをそろえるのは引越や転籍が多い人も居るので、ケースによっては取り寄せが大変です。
祖父母の場合は5か所くらいに取り寄せ依頼したんだそうで・・・筆者が産まれてから30年あまり、その間全く転居していなかった祖父母にも色々住居などの変遷があったことを知ってしみじみとしました。
相続が発生すると亡くなられた方の預金は「相続預金」として特殊な管理をされることになります。払出の手続きにあたっては色々な制約があるため、実務においてはどちらかというと、支店にいらっしゃる専門の担当者か相続預金専門の管理センターが手続きを行う、というイメージかもしれません。
しかし、お客さまとの相談をするにあたって「何も知らない」というよりも、一般的な知識をお伝えして親身に相槌を打つのとでは信頼関係の高まりが段違いですし、相続実務担当になった場合には勤務先のルールだけではなく法律の前提を知っておくほうがイレギュラーにもスムーズに対応が出来るようになります。
というわけで今回は、相続預金・法定相続分・遺言について、法務3級に出題されやすい要点をお伝えしていきますね。
預金者死亡時の法律関係と預金債権の承継(判例改正点)
預金者が死亡すると相続が開始し、預金は相続財産として相続人に承継されます。
判例は、”性質上可分な金銭債権は、相続開始と同時に各共同相続人に相続分に応じて当然分割承継される”と解しています。以前はこの点において、預金債権も可分債権として”各共同相続人は、自己の相続分の範囲内であれば単独で相続預金の払戻請求ができる”と捉えられてきました。
で、す、が。平成28年12月、最高裁がそれを覆す判例を出しました。
預金債権は「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる」との判断です。この見解は例年出題されるポイントであっただけに、激震が走りました。
相続預金の払戻手続き
前項の最高裁決定に伴い、金融機関は遺産分割協議が終了していることを確認をしたうえで、その遺産分割協議書の提示を受けてから、預金の払戻手続きに応じる形になりました。
もし、遺産分割協議終了前に、共同相続人の一人から相続預金の払戻請求があったとしても、原則としてそれに応じることはできなくなっています。
この手続きに関しては、ここ10年程度でも二転三転していましたし、試験の出題も実務トラブルも多かった部分です。筆者が受験した頃は全く違う回答だったんですけどねー。
更に、最近は相続時に管財人を選定するケースも増えてきました。管財人に関わる出題もありますね。
その他実務上留意する事例
1.葬式費用
葬式費用にあてなければならない事情があるとして、相続預金の払戻しを求められるケースもあると思います。前項までの通り、原則は「遺産分割協議前」のため、払戻しに応じることはできないのですが、緊急を要する費用でもあることから”相続人全員の同意”があれば払戻しに応じてもよいと考えられています。
2.公共料金の口座振替
実務でよくある質問として「(相続人の口座から行っていた)公共料金の引き落としはどうすればいいの?」というものがあると思います。
口座振替契約は準委任契約と解されており、同契約は委託者の死亡によって終了します。そのため、相続預金の口座から公共料金の振替決済をすることはできません。相続人のどなたかに改めて口座振替の届出をしてもらうかたちになりますが、1か月程度の時間を要するため、事前に水道局や電力会社などに問い合わせをしておくとよいでしょう。(届出受理までの1~2回分は直接払込の用紙が届く形になります)。
3.当座預金からの手形・小切手の引落し(相続開始前に振出したもの)
当座勘定取引は、委任契約を含んでいることから取引先の死亡により終了します。取引先の死亡後に手形・小切手が交換提示された場合は「振出人等の死亡」事由で不渡返還されることになります。ですが、ご商売の関係などで必要があり”相続人全員からの依頼”があった場合には、支払っても差し支えありません。
法定相続分
原則
相続人 | 法定相続分 | |
第1順位 | 配偶者と子(代襲相続は限度なくあり) | 配偶者:2分の1 子:2分の1 |
第2順位 | 配偶者と直系尊属(代襲相続は限度なくあり) | 配偶者:3分の2 直系尊属:3分の1 |
第3順位 | 配偶者と兄弟姉妹(代襲相続は一代まで) | 配偶者:4分の3 兄弟姉妹:4分の1 |
配偶者が相続発生時に存命の場合、必ず法定相続人となります。
ただし、法定相続人だった方が相続放棄をした場合には、その子らに代襲相続は発生しません(法律上その法定相続人がいなかったものとみなされる)。
嫡出子と非嫡出子
嫡出子ってなかなか聞かない言葉ですよね。これは大まかに言うと「婚姻した夫婦から産まれた子」という意味です。非嫡出子はその逆ですので、婚外子です。平成25年、民法の改正により「嫡出子か非嫡出子か」による相続分は同じとなりました。
当時は「嫡出子に対して不公平すぎる!」と話題になりました。
これが「子の相続」ではなく、「兄弟姉妹の相続」(第3順位ですね)となると、片方の親しか同じでない兄弟は「半血兄弟姉妹」として、法定相続分は双方が同じ兄弟姉妹の2分の1になります。
養子
養子も、法定相続分は実子と同じです。ただし、法制度上、養子は「いくらでも増やせる」ことから、法定相続人として加えられる上限人数が決まっています。
- その相続人に実子がいない場合→養子は2名まで
- その相続人に実子がいる場合→養子は1名まで
これには、「法定相続人が増えることで相続の基礎控除額が増える(一人当たり600万円)」ことが関係しています。税金逃れのために養子をポコポコ迎えることを防ぐわけですね。
養子が上記以上いた場合でも、養子自身の権利が侵害されるわけではないので、混乱しないように気を付けましょう。
※詳細はここでは触れませんが、「孫養子(孫と養子縁組した場合)」は、”相続税の2割加算の対象”です。
遺言
遺言。最近は様式を整えた「エンディングノート」が色々発売されて敷居が低くなった部分もあるかと思います。争続(そうぞく)を避けるためにも自分の意思として遺言を考えられるかたは増えてきています。法務3級では微に入り細を穿つような部分は出ませんので、出題されやすい要点をかいつまんでお話ししますね。
遺言の形式
1.遺言には「自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言」の3種類があります。その種類に軽重はなく、複数枚の遺言が存在した場合、種類に関わらず最新のものが有効となります。
種類 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 |
作成方法 | 本人が口述し、公証人が筆記して遺言書および証人に読み聞かせる。 | 本人が遺言の全文・日付(年月日)・氏名などを書き押印する。 ※1パソコンでの作成、音声や映像による遺言は無効 ※2加除訂正の方法は民法で厳格に定められている |
本人が遺言書に署名押印の後、遺言書を封じ、同じ印で封印する。公証人の前で本人が住所氏名を申述する。 公証人が日付などを書く。 ※パソコンでの作成、代筆可 |
場所 | 公証役場 | 自由 | 公証役場 |
証人 | 証人2人以上 | 不要 | 証人2人以上 |
署名押印 | 本人、公証人、証人 | 本人 | 本人、公証人、証人 |
家庭裁判所の検認 | 不要 | 必要 | 必要 |
長所 | ・公証人が作成するから安全確実 ・原本を公証人が保管するので紛失や改ざんの心配がない ・検認不要 |
・作成が簡単 ・遺言した事実も内容も秘密にできる ・費用もかからない |
・遺言の存在は明確にして、内容は秘密にできる ・内容を改ざんされる心配がない |
短所 | ・手続きが煩雑 ・遺言の存在と内容を秘密にできない ・費用がかかる ・証人が必要 |
・紛失や改ざんの心配がある ・方式が不備だったり、内容が不完全なことがある ・検認必要 |
・手続きがやや面倒 ・内容が秘密なので紛争が起きることがある ・証人も検認も必要 |
2.カーボンは〇(鉛筆書きは×)、拇印は〇・花押は×、吉日は×・末日は〇
これは自筆証書遺言などで「その遺言が有効か」という観点で出題されたことのあるポイントです。
- 鉛筆書きは訂正可能として無効ですが、下にカーボンをしいて映したものは訂正不可な状態なので有効です。判例はまだ聞きませんが、消せるボールペンも無効ですよね。
- 自署押印が要件とされる遺言ですが、押印に際して拇印を押したものは有効ですが、押印の代わりとして花押を描いたものは無効となります。「花押」と聞いてピンと来ない方は、伝統芸能分野におけるサインというイメージをしていただければいいと思います。
- 遺言は正確な日付の記載が要件とされるので、「○月吉日」などの日付がぼんやりとした遺言は無効となります。一方、正確な日付が分かる書きかえ(1日を「朔日」、31日などを「末日」、本人が「自分の誕生日」と記載)をした場合は、その遺言は有効です。
まとめ
さて、今回は法務3級の試験対策となる個別テーマとして、相続預金・法定相続分・遺言についてまとめてみました。いかがだったでしょうか。相続アドバイザーやFP1級の該当分野よりは出題ジャンルが限定的ではありますので、ぜひ実務とあわせて合格に活用していただきたいと思います。
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